彼との出会い3
僕は迎えに来てくれたアキさんの車に乗り込み、助手席の彼が入った箱を膝に乗せた。
大ぶりなケーキを入れる様な箱の中の彼は驚くほど軽い…中をヨタヨタ動くのが箱越しに伝わるため箱の扱いに気を使う。箱の側面にあいた空気穴から時折鼻を鳴らす音が聞こえてくる。
底冷えする外気に比べると暖房が効いた車内は酷く暑い。
僕はアキさんに迎えに来てくれたことの礼をいい、マフラーをほどきながら購入までの経緯を聞いた。
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この日の夕方… アキさんは用事を済ませスポーツジムに行く予定だった。用事は早く終わりジムに行くには時間が早いため、買い物と時間潰しのために湖街に向かい、いつものショッピングモールのペットショップに足を向けた。
ショーケースの中で遊ぶ子犬を見ていると、豆柴入荷の張り紙を見つけた。
しかし、ガラス越しに中を探したが、お目当の豆柴は見当たらない…アキさんは思い人がいない事に少しガッカリしていた。
そこに、ペットショップで働くより、美容師が似合いそうな今風な男の子の店員が、流行りの縫いぐるみみたいな子犬を抱えながら営業に現れた(笑)。
「え〜プードルいかがっすか〜
ガチ、可愛いっすよ〜」
※嘘です(^^;
今風くん「可愛いですよ〜抱っこして見ませんか〜?(´∀`*)」
ペットショップの常套手段であり最終奥義…悪魔のささやきである…
しかし、アキさんはクリクリヘアーに興味がないことを理由に、きっぱり抱っこはお断りした。( ̄▽ ̄;)
代わりに、気になった豆柴の張り紙の事を、今風くんに尋ねた…
今風くん「いますよ〜昨日来たばかりだから未だケースには出していないのです〜」 「見て見ますか〜」
この直後、アキさんと彼は運命の出会いをし(笑)今風くんは…プードルより大きな営業成績を手に入れた。( ̄▽ ̄;)
🐕………最終章に続く